イタリア・minimondi日記 byたしろちさと
ミラノから電車で1時間ほどのところにあるパルマという町。ここで毎年絵本のお祭り、ミニモンディがひらかれる。町のこどもたちが楽しみにしているイベントだ。
ミニモンディを訪ねて2日目。今日から3日間、小学校や図書館などをまわり、午前一回、午後一回のペースで計6回のワークショップをする予定になっている。どんな子どもたちに会えるのか今から楽しみだ。スタッフのフランチェスカさんの案内で、ミニモンディの拠点になっている本屋さん、LIBRERIA
Fiaccadoriに到着。街の中心ガリバルディ広場のすぐそばにあるこの本屋さん、児童書だけでなく大人の本、美術書なども充実。そんなに大きくはないけれど、日本でいうと青山ブックセンターのような感じに近いかな?街の一軒の本屋さんがこのフェアをやっていると聞いた時は驚いた。なんでも今から6年前に書店主のシルビアさんが図書館司書のパオラさんと協力して地元の企業にスポンサーを募り、始めたものだという。「最初はたいへんだったわ」と明るく話してくださったシルビアさん、今ではパルマ市やたくさんの企業がスポンサーとなって、約一ヶ月間の期間中、国内の編集者が集まって、絵本やこれからの児童書出版について話し合われる会議がひらかれたり、児童書の作家やイラストレーターが入れ替わり町を訪れて子どもたちに向けたワークショップをしたりしている。ボローニャ国際児童図書展のようにひとつの大きな会場があるというのでははなく、学校や図書館やギャラリーなど街のそこここでいろいろなことをやっている。広場にはられたテントには絵本がずらりとならび、そこで絵本を買うことも出来る。街のそこここに貼ってあるポスターがとってもきれい・・・。レストラン、ガッタマッタ(crazy
catの意)はスタッフやゲストのたまり場?のようになっていてそこに行くといつもだれかに会える。私が行っていた時は教育図書の出版社の方々とその新刊の絵を担当されたイラストレーターさんたち、そして作家のディーノさんが街を訪れていた。皆でとる食事はとてもにぎやか。みんなよく食べよくしゃべる。スタッフのベニーさんは日本の漫画おたくだったことが判明。
さて、わたしの場合は2003年に出版された「ぼくはカメレオン」が「Carlo
Camaleo」というタイトルでイタリアで出版されていることもあって、今回ご招待いただくことになったので、ワークショップの内容は色をテーマにすることに。こどもたちに動物の線画に自由な色を塗ってもらうことにした。これは以前日本でやったワークショップとほぼ同じもの。日本のこどもたちとの反応の違いも楽しみだ。
ワークショップ最初の会場は郊外の図書館。なんと古いお城が図書館になっていた。図書館の方の案内で児童書コーナーの一角のお部屋に。大きなテーブルと巨大なクッションマットがふたつ置いてある。座ってもよし寝転んでもよしとても自由な雰囲気だ。そうこうするうちににぎやかな声が近づいてきた。来た来た。子どもたちだ。小学一年生のこどもたち2クラスで30人ほどが先生に引率されてやってきた。みんな元気でとてもひとなつっこいのでちょっと安心。いよいよワークショップスタートだ。こどもたちとちょっとした色のクイズの後、お絵描きタイムに。用意した線画はゾウ、カバ、ライオン、ワニ、そしてキリン。もっと自由に好きな絵を描きたい子のために無地の紙も用意した。男の子にはライオンが、女の子にはキリンが人気があるのは日本と同じ。おもしろいなあ。こどもたちは色とりどりの動物が描き上がると私に見せに来てくれる。次から次へ、いろいろな動物を塗っては何回も見せに来る子、黙々とひとつの動物を塗って最後に出来ました!と持ってくる子・・いろいろな子がいて面白い。通訳をお願いしたイタリア在住の日本人、烏丸さんに手伝っていただいて、「すごいねえ!」とか「なんてきれいなの!」なんて言っているうちにあっちからもこっちからも画用紙を持った手が伸びて来てもうたいへん。絵を見てもらいたいという気持ちももちろんあると思うけれどコミュニケーションをとりたいという気持ちもあるのかなあと思ってなんだかうれしくなった。お絵描きタイムが終わると先生にお願いしてカメレオンの本を読んでいただいた。イタリア語のリズムが心地よい。イタリア語はわからないけれど読み慣れている感じ。上手だなあと思った。ワークショップは無事終了。こどもたちも喜んでくれたようでほんとうによかった。
その後の会場は、小学校、本屋さん、児童館、そして図書館。6回とも違う会場でのワークショップとなった。本屋さんに来てくださった学校の校長先生が学校に招待してくださるという思いがけないことも。たくさんのこどもたちと楽しい時間を過ごすことができ、シルビアさんやパオラさんはじめ、スタッフの皆さんもとても親切にしてくださって、忘れられない旅となった。パルマ、またいつか訪れたい街だ。
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